平成22年 地域伝統文化総合活性化事業
横浜の近代建築資産の保全・活用によるまちの魅力づくり 記録集(平成23年3月)
 
本事業について
 
□本事業の主旨
 
横浜市においては、開港以来多くの近代建築が建設され、独自の文化と景観が形成されてきた。今日でも、継承されて来た近代建築資産が横浜らしいまちのイメージ形成に寄与している。しかし、これらの建物も老朽化や所有者の代替わりで継承が困難になって来ている。
一方、横浜市では、行政の「歴史を生かしたまちづくり」の長年の取り組みを始め、大学、専門家の団体、市民グループ等、地域の文化遺産を活かしたまちづくりに取り組んでいる人材、団体等が多数あり、個々の実績も豊かにあるが、これまで、それぞれが個別に取り組んできた。
そこで、これらの人材や団体との協働事業を通して、地域の文化遺産を生かしたまちづくりの取り組みを総体として充実させるとともに、横浜の地域の文化遺産である「近代建築資産」の保存や活用を進め、更なるまちの魅力づくりへつなげることを目的に、本事業を行う。

□事業の概要
 
本事業は、3年間を目途として、以下の普及啓発、人材育成、調査、記録の各事業を行う。事業推進にあたっては、近代建築資産保存・活用方法検討委員会を開催し、この委員会において各事業の効果的な実施方法や成果の相互活用を検討しつつ進める。
 
○普及啓発:
市民が横浜の近代建築資産の魅力を深く広く知ることで、市民による保存や活用が今後広がっていくことを目的とする。市民の継続的な参加を得やすいように、分かりやすい年間テーマを掲げて、シリーズ化したセミナーで知識を深めるとともに、3年間のテーマを重ねることで多様な魅力を知ってもらう。
 
○人材育成:
修復事例の紹介や修復計画の勉強会を導入として、技術情報や人事交流等、近代建築資産の保存や活用に欠かせない技術の伝承や人材・情報の交流を促進し、3年後には専門技術者のネットワーク化を目指す。
 
○記録作成:
年度ごとの事業の記録を作成し、公開するとともに、3年間の成果を取りまとめて、報告書の作成と市民向けの普及啓発を目的としたパンフレットを作成する。また、啓発事業のプログラム化、調査結果の公表等により、関係者が事業の成果を共有でき、本事業終了後も継続的な活動が展開できるような素地固めをめざす。
 
○調査研究:
まず初年度は、近代建築資産の現況を調査し、今後活用方策を検討するための基礎資料を整える。3年間のステップで、活用方策の検討を具体化する。

□検討体制
 
近代建築資産保存・活用方法検討委員会
委員長
 
宮村 忠(当会代表理事 関東学院大学名誉教授)
委 員 吉田鋼市(当会理事 横浜国立大学大学院教授)
関 和明(同 関東学院大学教授)
堀 勇良(同 建築史家)
水沼淑子(同 関東学院大学教授)
鈴木伸治(同 横浜市立大学准教授)
内田青蔵(当会社員 神奈川大学教授)
顧 問 坂本勝比古(当会相談役 神戸芸術工科大学名誉教授)
西 和夫(同 神奈川大学工学研究所客員教授)
事務局 一般社団法人 横浜歴史資産調査会
 
上記構成員のほか、必要に応じて専門家をオブザーバーとして招聘する。